音楽に愛をこめて

音ゲーに関する話や日常で感じたことで、140字で収まらなかった思いをつらつら書いています。

virkatoと私(BEMANI SYMPHONY感想)

金額も金額だったので参加を少し悩みましたが、高校生以来のオーケストラ演奏、5年ぶりの生ピアノ演奏を聴きたいなという、BEMANIイベントというよりはコンサートに行きたいという気持ちが大きかったので思い切って参加してきました。
結果、本当に、本当に参加出来て良かったです。

 

個人的に一番うわ……となったのは「海神」だったりします。
DJで流れてくる原曲の語弊を恐れずいえば機械のベース音などに、生ピアノのメロディーラインが調和していて、あんなに何度も筐体で聴いてきたというのに改めて美しい曲だな……と実感してしまいました。
最近はTOTTOさんも作曲の第一線から退いてしまっているのが心底寂しい。あの流れるような透き通る美しいメロディーが恋しいです。

あと「流砂の嵐」と「Fly far bounce」がまさかのピアノと作曲者ご本人のコラボ演奏でオタクは泣いた。カッコ良すぎるだろう……。
「流砂の嵐」、私が初めてe-pass作ってプレーした機種がjubeatなんですけどそこで一目惚れ(?)してめちゃプレーしてた曲なんですよね。
それを目の前で劇団レコードさんのギターと事務員Gさんのピアノで演奏されて涙ぼろぼろ零れてしまいました。筐体サントラ音源でもすごく色っぽくて暖かさがあって、感情が溢れそうになるのに、そんな、人間の感情が乗った生演奏なんてされたらそりゃあね……。
「Fly far bounce」は猫叉さんいわく、「ピアノとカホンだけで一曲作ろうと思って」作られたそうで。事務員Gさんのピアノと猫叉さんのカホンのデュエットだったんですけど、当たり前だけど原曲じゃんってなってしまって……(???)
やっぱり生演奏は本当に心臓にガツンとくるのがたまらないですね。お二人の魂を感じるというか何というか。美しさの中に強さが光るメロディが素敵すぎる。

あと、昼夜通して涙してしまったのは「Idola」です。
元々原曲に物凄く思い入れがあって、というのは、wacさんが曲コメントで「BEMANIの力を見せたかった」と仰っていたんですよ。
これが発表された時期っていろんなメーカーから、いろんな形態で音楽ゲームが運営されていて群雄割拠みたいな時代だったと記憶していて。
いわゆる「神曲」「ボス曲」だと言われる曲も多く存在していた。
私は勝手にBEMANIが一番すごいと思っていたから(そもそも優劣なんてないんだけど)、コンマイなんて言われてちょっと馬鹿にされているのを見てチクっときたりとかもしたんだけど、そういうときに普段曲コメントでどこまでが本気かわからないようなゆるいコメントで楽しませてくれたwacさんの口からこの言葉が出て来たことが私は本当に嬉しかったというか、結構胸に来てしまったんですよね。
実際にこの曲はwacさん一人じゃなくて、dj TAKA、あさき、96ちゃん(今は退社しちゃったけど)という当時BEMANIを代表するようなコンポーザーの力を借りて作り上げられたという事実。
そういうこともあって、この曲が本当に大好きなんです。
「世界は変わらないんだ だから私が!」のもいもいの熱い想いを乗せた歌声から一気に美しいメロディーが広がるあのサビ、その美しさとは対照的な少し仄暗さを感じさせる歌詞のハーモニーがこれでもかというほど人の心を揺さぶるんですよ。
泣くな、と言う方が無理な話で、曲の完成度もそうですけどそういういろんなことを思い出してしまってずっと泣いてしまった。こいついつも泣いてんな

 

最後に。
このコンサート、演目は昼夜でほぼ同じなんですけど演奏順がバラバラで。
それでもこの曲だけは昼夜通して大トリで演奏されたんです。
TAKAさんは「BEMANI初期~中期を代表する曲です」と紹介していたけれど、間違いなく今でもIIDXを代表する曲、「冥」のアレンジも本当にやばかった。
いわゆる「低速地帯」といわれるあの部分の静けさと厳かさ、「ウイニングラン」といわれるあの部分で一気に光が広がるようなきらきらとした眩さ。オーケストラだからこそ、でもあるその落差、あれ泣かずに聴ける人おる????
私は、IIDXは九段なので冥に挑戦なんて夢のまた夢だけど、よく聞く低速抜けた時に「足が震えた」とか「目が潤んだ」とか、そういうのってもちろんやっと皆伝が取れたという嬉しさ、今まで頑張って来たことへの達成感、そこまで到達するまでの辛さ、そういったものが一気に押し寄せてくるからだと思っています。
けれど、それを盛り立てるようなこの曲の構成の仕方もあるんじゃないかなあって、このオーケストラアレンジを聞いてそう思いました。
先が見えないような静かで暗めな曲調から、一筋の光が見え、そこから一気に解放感を感じさせるあのきらめく音とメロディー。そして元に戻る疾走感のあるBPM。カリスマだと言われる曲は、何年、何十年たってもカリスマなんだなあ、と。

昼の部でも泣いてしまったのですが、夜の部ではまさに文字通りの大号泣。ずっと肩を震わせていました。
いや、お前皆伝取ったこと無いのになんでだよ、って思われるかもしれません。
公演終わりでTaQさんが仰っていた「僕は、今日はこのBEMANIを作り、みんなに楽しんでもらうために今まで何千と言う曲を創り上げてきた彼ら(beatnationのメンバーや出演コンポーザー)の日だと思っています」という言葉を思い出してしまったんです。
今でこそ、音ゲーは多種多様な機種が存在し、数多くのコンポーザーの方々によって作られているけれど、やっぱりその原点ってBEMANIなんだよな、と。

私はコンポーザーオタクなので、
「ギガデリに出会わなかったら多分、今の自分は無い」
音ゲーのアルバムだと、wacさんの『音楽』を人生で一番聴いてると思う」
IIDXで(dj TAKAの)トランスを聴いたことが全てのきっかけだった」
「学生時代、時間があればひたすらギタドラをやっていた」
今では多くの音ゲーに曲を書き下ろして活躍されている方々が口をそろえて自分のルーツはBEMANIだと言っていたことを一気に思い出してしまって。
何より、この舞台に立っていたTOTTOさんでさえIIDX皆伝所持者なのだから本当にこのゲームがユーザーに与えた影響って大きくて、もちろん彼らがプレーしていた機種はそれぞれなんだろうけど、多くの人たちがこの冥を突破するためにいろいろな想いを抱きながらプレーしてきたんだろうなって思うと、たった一つの曲が放つあまりにも大きい存在感とか、歴史の重さとか、ゲームを超えたすごさを感じてしまって涙が止まらなかった。
だいぶ遅くなってしまったけど、そういったゲームに自分が出会えたことも嬉しいなって思ったんだよな。
こんなブログを書いていたら、YouTubeのおすすめ欄にBlackYくんが皆伝に合格して狂喜乱舞してる動画が出て来て、再び泣いた。
元々ガチの音ゲーマーであることはもちろん知っていたけれど、公募以外でもこれだけBEMANIに曲を提供して、他機種でも活躍していて忙しいであろう彼が今でもこのゲームに向き合って必死で頑張って来たことを思うと、改めて多くの人の惹きつけてやまないBEMANIのすごさをひしひしと感じてしまう。

私は今後もBEMANIが好きだし、BEMANIの音楽が好きなんだろうなと再実感した一日でした。
あとはPONさんの生歌聴けたのが本当に嬉しかった。ありとあらゆる感情を込めたあの歌声が大好きなので……。

 

そして、アンコール枠と言うことで事前告知されていたvirkato氏の新曲が発表されたのだけど、私がずっと待ち望んでいたようなものがそこにはあってやはりどうにも涙が止まらなかった。
彼の新曲を聴けたことが本当に幸せだし、それをKeikoさんの素晴らしすぎる生演奏で聴けたことも本当に幸せだった。
どんな形であろうとvirkato氏の新曲が出るという事実が信じられなかったし、オタクで良かったな……と思いました。

 

 

 

私がvirkato氏を知ったのはIIDX17 SIRIUSで収録された「ワルツ第17番 ト短調 "大犬のワルツ"」という曲だった。
今でも覚えているのだけど、あれは2017年の2月頃だったように思う。
2010年からプレーしていたjubeatでDIAVOLOという曲に出会い、何かを思い出したようにプレー動画やピアノアレンジ、はたまた原曲のパガニーニをひたすら聴いていた時に「おすすめ欄」に出て来たのがこの曲だった。
子供のころから、趣味程度ではあったけれどピアノを習っていて学生時代は吹奏楽部だった私。
クラシック音楽が好きでよく聴いていたということもあってそれなりに有名な曲は知っていると思っていたが、「大犬のワルツ」という曲名を見たのは初めてで。
「子犬のワルツの仲間みたいなやつなのかな」と興味本位でその動画をクリックしたのが全ての始まりだった。初めて聴いた時の衝撃たるや。
私が聴いたのは大犬のワルツのピアノアレンジ(原曲もピアノなんだけども)で、作曲者はリストかな、ベートーヴェンかな、とか著名な作曲者名を思い浮かべたが、調べてみるとこれまた見たことのない作曲者だった。それがvirkatoだった。

そこからはオタク気質が暴走してひたすら検索エンジンで調べた。
そもそも「大犬のワルツ」という曲は音楽ゲームのために作られた曲であること。
virkatoというのはとあるKONAMI所属のコンポーザーが使用している名義であること。
そういったことを、ようやくこの時に知った。

jubeatからBEMANIというブランドに触れてこの曲と出逢うまでの7年間、私はゲームの公式すらチェックしないガチのエンジョイ勢だった。
いつ新曲が出るかなんて知らないし、連動イベントもゲームセンターのポップとか筐体内の案内で知るレベルだった。そういうこともあって、連動イベントでたまにIIDXをプレーしたことはあったけど、このゲームを継続しようなんて思ったことは一度も無かった。jubeatすらエンジョイ勢だった私にとって、BEMANI最強の「ガチンコ機種」であるIIDXは、エンジョイすら出来ないくらいハードルの高いゲームだったのである。

だけれども、だ。

大犬のワルツという曲は、音ゲーエンジョイ勢でIIDXに対して消極的だった私の在り方を根底から覆した。
どうしてもこの曲をプレーしたい。IIDXはハードルが高いから他の機種で……と思って調べてみようにも、この曲が収録されているのはIIDXのみ。
私は意を決してゲームセンターへ行き、IIDXをプレーすることに決めた。ちょうどプレミアムコントローラーも発売された時期でそれもすぐに購入した。
IIDX24 SINOBUZの時期だった。

 

私はこのブログでいろいろなコンポーザーへの愛をかたっているけれど、全ての出発地点はvirkato氏なのだ。
彼に出会ったからこそ「コンポーザー」という人たちの存在を知り、そのすごさに圧倒され、今の今まで音楽ゲームを続けられている。
私にとって「大犬のワルツ」という曲は彼の名前を知り、そして彼(の中の人)の偉大さを知り、この世界へと誘ってくれた特別な一曲なのだ。
だから、今回の「ピアノ独奏無言歌 灰燼」というピアノのみで構成された新曲は、そういったものを思い出させるには十分すぎるもので、溢れ出る涙を止めることが出来なかった。

wacさんは頻度が低いとはいえ定期的に曲を作られているので供給は止まっていないし、どの曲も内側から湧き出る強さとかそういったものを感じさせてくれるので、いつも私は心を揺さぶられてきた。
かるたクイーンいろはとか、スーパー戦湯ババンバーンとか、ああいうネタっぽい曲でも裏側で流れる緻密で細かな音で構成される音楽に感動してきた。
けれど、ピアノのみで、この名義で、そして彼一人で作られたであろう曲はあの大犬のワルツから一曲も無くて、いつかはまたああいう曲を聴きたいなあなんていう思いがずっと自分の心の中にあったんだよな。
それを初めてご本人をこの目で見られた日にお披露目されて、もうね、本当に……言葉になりません。

心からこのコンサートに参加出来て良かったと思います。ありがとうございました。

 

 

ちなみに、大犬のワルツをクリアするためにIIDXを初めて早5年の月日が経ちましたが未だにクリアできていません。
でも、あの時の気持ちは薄れていないし、現に私のクプロは頭から足まで全部大犬さんです。
いつかは……と思っていたモチーフネイルもここぞ!という時に出来たので感無量です。可愛い(自画自賛

 



 

BEMANIというブランドを守り続けてくれるコンポーザーの方々へ愛をこめて。
改めて、本当に、ありがとうございました。