音楽に愛をこめて

音ゲーに関する話や日常で感じたことで、140字で収まらなかった思いをつらつら書いています。

面倒臭いオタクの面倒臭い独り言

あんまり書くべきではないと思っていたのだけど、先日とある曲をとあるきっかけでプレーしたら我慢できなくなってしまったので、自分の気持ちにけりを付けるために筆を執りました。
先に断っておくと、この記事は特定の何かを否定するようなものではないですし、あくまでも自分のことを少数派だという自覚があるオタクのクソデカ感情でしかありませのであしからず。

 

他の記事でも書いているように、私が音ゲーをプレーし続けている理由や目的は「好きな曲をクリアまたはプレーするため」だ。
SDVXにおいて好きなコンポーザーが絡んでいる曲で未クリアなのって「ツマミ戦隊タテレンジャー」だけだとここ1年ずっと思っていたんだけど、久しぶりにレベル18の未クリア曲を見ていたら、うっかり見つけてしまったのだ。

KAC 2012 ULTIMATE MEDLEY -HISTORIA SOUND VOLTEX-

いや!YoohくんもC-Showさんも絡んでいるのに!何で忘れていたのか!!
(1年ぶりにプレーしたら大宇宙の癖が抜けていたのか一発でクリア出来ました。)

それは置いといて。
やっぱりKAC2012の採用曲ってメドレーのアーティスト名に「FLOOR LEGENDS」とあるように、どれも伝説だよなって改めて思ってしまって、これは言うまい、とずっと思っていた感情が溢れ出してしまった。
全員のコンポーザーを追っかけているわけではないから全員の想いとか、そういったものはわからないんだけど、例えばYoohくんはDynastyについて「三拍子の曲ってありそうでなかった。自分は、アイデアで勝負するしかないって思っていたからあの曲を作った」と言っている。(MAD CHILDさんとのラジオより)
一方でBlackYくんは「THE ボス曲を追及して作った。譜面も難しくなるようにイメージした」と言っている。(とある冊子より)
きっと皆それぞれの想いがあってあの曲を作りだして応募したんだと思う。
だからこそそれぞれの色がはっきりと出ていて、メドレーになったとしても完成度が高く人の心を十分動かすんだろう。
それから月日は経ち、今年2022年、KAC10thが開催された。
今年ももちろん最優秀楽曲含め公募は行われた。
自分自身、薄々気付いていたんだけど自分の悪い癖である勝手な妄想であってほしいと思っていたことがあった。

(もしかすると、もう、推しの曲はKAC公募では採用されないかもしれない。いや、採用どころか応募すらしていないかもしれない)

私の予想は見事に的中してしまった。応募したかどうかはわからないんだけど、採用されていないという事実だけは目の前にある。本当にそれが辛かった。

そう思ってしまったきっかけは、コロナ禍でいろんなクリエイターが好意で行ってくれていた雑談配信を聞いたことによる。
何度か話題に出させてもらっているが、MAD CHILDさんの配信で昔を振り返りながら話していたことが頭から離れないのだ。

「昔は、『自分はこんな曲作るんだぜ!!』っていう圧がすごくて、制作者側もどういう譜面にしようとか刺激的だったんだよな。今は、環境が整ってきたというのもあるし、何というか、作曲側も、(譜面)制作側も『こういう曲が受ける』ってわかってきたからなのか、クオリティの高いそういう受ける曲がどうしても多くなっている気はする」

これは私の意訳も含まれているけれど、大体このようなことを言っていた。
多分プレイヤーもだいたい気付いていると思う。言葉を選ばずに言えば「速く」「音数が多い」「展開がドラマティック」といった要素が含まれていることが前提になっているんだろう。

何か蒸し返すみたいで申し訳ないんだけど、昔、とあるコンポーザーの発言が波紋を広げたことを思い出す。本当にやんわりと表現すると「難しい曲が良い曲だと思われがち」といったような趣旨の発言をされたのだ。
私はその発言を見て、正直なところ「言いたいことはわかる」と心底思ってしまった。
作り手のこの発言の気持ちもわかるし、いちプレイヤーとして「難しい曲が良い曲だと思う」気持ちもわかるような気がする。
難しい曲は、必然的にクリアやスコアを伸ばすためにプレー回数が増える。そうするとその分耳にする回数も増える。リズムも自分の身体に沁み込んでくる。やればやるほど、聴けば聴くほど曲の良さに気付ける。
そもそも、公募で合格した難しい曲は合格するほどのクオリティと魅力があるわけなので普通に良い曲なのだ。そこに、そういうプレー回数とか、クリアまでに、Sランクを出すまでにかかった時間は思い入れとなってその魅力を大きくさせる。
結果「曲良いな」という結論に辿り着く。だから、難しい曲が良い曲だと思われる感情は理解できる気がするのだ。

まあ、どちらにしてもそういった発言をしたことを擁護するつもりはないんだけど、とはいえ、やっぱり思うところがあったことは理解出来る。曲を作るという立場上、言葉にして発信してしまったことは、やっぱりあまり好ましく無かった、とは思うけども。
私は「推しが一番」で盲目になってしまうきらいがある自覚はあるので、基本的に自分の感覚が悪いって思った上で言いたいことを言うんだけど(より厄介だよ)、作り手の立場を考えると、普段から速くて格好良くて強い曲をメインで作っている人がどうしても有利じゃん、と思ってしまうんだ。
もちろん、BlackYくんがマクバを「ゴリゴリのボス曲っぽく!」と作って実際に最優秀楽曲に選ばれたという事実があるので、「最優秀獲りたいならそう言う曲を作ればいいじゃん」ということになると思う。
かぼちゃさんも普段はご自身のボーカル曲がメインだけれども、KAC向けにエンブリオを作られたわけだし、そりゃあ欲しいものがあるならそれに寄せるべきだというのが正しいんだと自分でも思う。
だけど、私はYoohくんが「またああいう(Dシリーズの)曲作らないの?」と聞かれた際に零した「僕はもう速い曲は良いです(笑)みんなが作ってくれるので」という一言にものすごく胸を締め付けられてしまって、その言葉に囚われてどうしようもないのだ。彼の中ではDestinyがああいう曲の最後って決めていたのかな、それが最優秀獲れなかったのなら、もうこれが区切りなのかなと思ってしまって……。
C-ShowさんのLubedeR採用コメントにも、本当に心臓をぎゅっと掴まれるような感覚に襲われていて、きっと彼自身、自分の曲調では難しいってわかっているのかなとか。だけど、やっぱり最優秀楽曲採用が彼の夢であって、何というか……すみません、限界オタクなので、他のコンポーザーおよびファンの方への配慮が出来ず申し訳ないんですけど、こういう、初代からの人たちがもう一度注目されて、何か報われてほしいなってすごい思ってしまうんですよね。


私がSDVXから距離を取ってしまったのは、紛れもなく、こういう流れについていけなくなったから。これは当然そういう風潮が悪いわけではなくて、単純に自分がしんどくなってしまうからという自分本位な理由です。
もう十年以上オタク活動をしていますが、「公式が合わないと思ったら、自分が公式の想定しているファン層から外れただけ。公式に文句を言うのはお門違い」という言葉を常に心に留めているので、この流れは必然であって、自分が引くのが筋。当然の話。
そもそも、報われてほしい、なんていうのも、本人たちがどう思っているかわからない以上ただのオタクのエゴでしかないこともわかっている。

どんな形であれ、推しの曲が聴けるのであれば幸せなんだから、SDVXに拘る必要はないんだと思って数年の月日が流れた。
だから、こんな汚い感情を表に出さなくても良かった。んだけど。
偶然目にしてしまった「今回の最優秀、今までの常連とかじゃなくて初めての人が、音ゲーのことを考えてくれている人が受賞して嬉しかった」という意見。
これが、今メインでプレーされている方の意見であり、現実なんだということをまざまざと突きつけられたような気分だった。
至極当たり前の話だけど、意見は十人十色だ。この世のコンポーザーには必ずファンがいる。だから喜んでいる人も悔しがっている人もいるはずなんだけど、私は一度SDVXを離れてしまった身なので偉そうなことは言えない。こうやって長く愛情を持ってプレーされている方の意見はすごく説得力があった。
また、それに追い打ちをかけるかのように、始めの話に戻って、久しぶりに2012KACメドレーをプレーして感極まってしまったのと、待ち列に並んでいた時に自分の目の前の筐体にいらっしゃった方がたまたま今年の最優秀曲をプレーされていて。あのど派手な演出を見てしまったんですよ。そしたらもう我慢できなかった。本当に、辛かったし、苦しかったし、虚しかった。

 

これは、本当に面倒臭いオタクのただのエゴだ。
かつて、SDVXに採用される門戸は狭く、採用者の間でも「初代の採用e-pass持っている人は本当にごくわずかに限られる」と言われるほどだった。その狭き門を潜り抜け、自分の持つ熱い想い、それぞれの個性をぶつけてこのゲームを盛り上げてきた彼らの曲が、あの大舞台でお披露目されてほしかった。
私は、どうしても、初代から定期的に曲を提供し「ボルテは俺の故郷」「ボルテがあったから今の自分がいる」とも言ってくれた推しの渾身の一曲に、制作陣のあの見る者を魅了し、心を揺さぶるような演出がついてほしかった。
多くのプレイヤーがプレーして「やっぱり○○の曲は最高だわ」という感想で溢れて欲しかったし、それが彼らに届いて欲しかった。私では力不足すぎて他のプレイヤーや彼らにその声が届かないから。
彼らの曲が最高なのは、受賞できなくったって変わらないし、紛れもない事実なんだけど、コンポーザーの方が我慢できずに「難しい曲が良い曲とされがち」と発言してしまうほどそういう重たい現実が横たわっているのもまた事実。
「FLOOR楽曲リミックスコンテスト」という言葉を見て、ああ、時代ってこんなに変わったんだなと思ってしまったし、同時に私はあの時代から身動きが取れていなくて、これでは周りに迷惑をかけるただの老害になってしまうという恐怖も感じてしまった。

 

自然と沸き上がる感情に折り合いを付けるのは難しい。
だけど、こうやって文章にしたんだから、もうこの執着は捨てようと思う。捨てられるかはわからないけれど、捨てる努力はしていきたい。

最後に、本当にいつも最高の曲をありがとう。推しに幸あれ。